K&Tピックアップマイスター 高野 順

「ヴィンテージ・ギターのあのサウンドを再現したい」という思いは、多くのギタリストの願いであり、ある意味ギター製作者達の夢でもあります。ヴィンテージ・ギターのサウンドが高く評価されるようになった70年代後期から、様々なギター製作者やメーカー、さらにはピックアップ・メーカーなどが、ヴィンテージ・ギターならではの魅惑のトーンを研究し、その謎は少しずつ明らかにされてきました。

そんなヴィンテージ・ギターの研究を長年続けている重鎮が、日本にもいます。高野 順。ヴィンテージ・ギターに精通している人であれば、彼の名前を聞いたことがあるでしょう。ヴィンテージ・ギターズのオーナーとして長年ヴィンテージ楽器の販売・修理を行ってきた高野氏は、日本のヴィンテージ・ギター研究の第一人者でもあります。彼は79年から吉祥寺で“ヴィンテージ・ギターズ”というヴィンテージ楽器とリペアの専門ショップを運営してきました。

ECやJBをはじめとする数多くの海外著名ギタリスト達のヴィンテージギター、ベースのピックアップの巻き直しリペアとヴィンテージ・ギター、アンプ、エフェクターの修理経験を経た後、そのヴィンテージ・ギターに関する豊富な知識と技術を買われて、大手ギター・メーカーのヴィンテージ・モデルの開発や ヴィンテージ楽器に関する書籍の執筆/監修なども行っています。

そんな彼が完全な手巻きに拘って巻く50~60年代にかけてのヴィンテージ・ピックアップの復刻品を始めとする“K&T” 完全手巻ピックアップは、工場で高速巻線機を使用して約50秒で巻き上げる大量生産品や、モーター巻線器を使用して5分程度で巻き上げる一般的なハンド・ワインディング製品とは違い、自作の手動ワインディング・マシンを使用する為、ハムバッカーの片ボビンで15~20分、シングルにおいては30分以上(モデルにより異なります)かけて巻き上げていきます。

手動巻線器は速度調整ができ、回転数ごとに停止できるので年代やタイプのみならず当時の個体差によるトーンの差を、30年以上蓄積したデータと彼のノウハウで再現することができます。

マグネットは現在一般的なパルス式ではなく、特注の直流式着磁機を使用して再着磁。ヴィンテージ系においてはモデルごとに当時のピックアップと同じ磁力に合わせています。

60~70年代のロック・ギタリスト達が生み出したギター・トーンは、今日もロック・ミュージックの中心的なサウンドとして広く支持されています。様々なギター・メーカーやリプレイスメント・パーツ・メーカーでヴィンテージ・スタイルのピックアップを製作している中、K&Tピックアップがヴィンテージ・ギターの所有者やコレクターなどに支持されるのは、彼らが使っているギターと“同じテイストを感じさせる”からに他なりません。