2015年8月12日(水)、都内某所にて増崎 孝司(DIMENSION)、五味 孝氏(T-BOLAN, electro53)、柴崎 浩(ex.WANDS, abingdon boys school)、AKIHIDE(BREAKERZ)というビーイング系ギタリスト4名が集結したスペシャルイベント「Being Guitar Summit Vol.03」が行われました。

「ギターをもっと主役に!」という想いのもと行われたこのイベントにはビーイングファンはもちろん、多くのギターファンが詰めかけました。MCにてメンバーから語られた『目指せ武道館』の合言葉のもと、ジャンルの壁を越えあらゆる場で活躍する凄腕ギタリストたちによる息の合ったアンサンブルや、白熱したギターバトルにより、この日でしか味わえないスペシャルな一夜となりました。日本を代表するギタリストが集うライブだけあり、使用機材にもそれぞれの個性と拘りがあふれており、ギターファンの注目を集めていました。

そこで、今回のイベントに出演されていたギタリストの内、CAJ千葉氏が組み込んだシステムボードを使用している「増崎 孝司」氏、「五味 孝氏」氏のお二方にインタビューを敢行!! 使用しているエフェクターや接続順、エフェクターを選択する上での基準など普段はなかなか聞く事の出来ないお話をお伺いすることができました。

TAKASHI MASUZAKI Interview

  • エフェクターの使い分けはどのようにされているのでしょうか?

  • 基本的には本日の機材は、レコーディングなどでも使用しているメイン機材です。アンプヘッドを2台用意していて、それぞれ歪み用、クリーン用となっています。クリーサウンド時にはLoop and Linkを使って、ペダルボード内のコンパクトペダルのON/OFFを行い、一種類のサウンドだけではなく、曲にあったサウンドを引き出しています。リアルタイムにON/OFFするものもあれば、プログラミングして決めて使っているものもあります。ペダルボードに配列されているものの多くはブースターと言われるものです。アンプのヘッドルームを広くとって、ペダルを使ってそれをプッシュするイメージを持っています。

  • このシステムだと5個以上のペダル類が並んでいるのですが、どの様な接続方法及びコントロールを行っているのでしょうか?

  • 接続順としてはまず入り口からCOMP、PHASERを通ってCAJのIN AND OUT に入ります。そしてIN AND OUTからLoop and Linkに入る前に WAH と FUZZ(Suhr Rufus)を通ってLOOP AND LINKのINPUT に接続させています。FUZZだけで1 LOOP取られるのが嫌だったんです。

    LOOPの接続順としては、Jan Ray(LOOP 1)、SOUND WAVE LAB Distortion(LOOP 2)、BOOSTER(LOOP 3)、CHORUSは2種類あってARION SCHZ、TC CHORUS+(LOOP 4)となりますね。その後、StrymonのFLINT(Reverb)とDIG(Delay)を通り、クリーン用のアンプへと入力されます。今日はFenderを使用していますが、今後変更するかもしれません。もう一台のアンプがSuhr Babgerで、これは歪み用アンプです。アンプのSend/ReturnにはLexicon PCM81が接続されていて、ミキサー(Suhr MiniMix II)も通っていています。こちらのアンプを使用しているときには、ペダルボード内の空間系は使用していません。

  • ありがとうございます。エフェクターを選ぶ基準はありますか?

  • なるべく原音が変わらないものを選びます。特にBoosterはそれが重要ですね。また、きちんとBufferingされているかどうかも重要だと思います。クオリティーが高いのは同じ基準で選んでいますが、歪みペダル等は、例えばアンプが少しクランチしてるようなサウンドで、自分が思ったトーンが出るかどうかも判断基準です。それで選んだものがこのボードに接続されているといった感じですかね。

  • 大きなラック、ペダルボード、フラクタル(Fractal Audio Systems Axe-Fx)を使い分ける基準は何でしょうか?

  • 昔に比べれば使い分ける基準は実はあまりありません。自分のイメージしているサウンドが頭の中にあるので、それをペダルボードやフラクタルを使って表現しているといった感じです。また、このようなペダルボードシステムに変えてから、大きなラックを使っていた時期よりもそのサウンドを作り込むのが凄く簡単になったと思います。

    しっかりとしたモチーフができてしまえば、後はそれにどれくらいの歪みを足すか?やピュアなアンプが発売されるとエフェクトペダルはいきてくるのかなと思いますし、そういう機材と出会えるかのというのは重要ですね。

  • 詳しく説明して頂きありがとうございました!

増崎 孝司

1962年12月8日生まれ 長崎県出身
80年代中期にプロとして活動を始め、これまでに数多くのアーティストのライブサポートやレコーディングに参加する。1990年『Speaks』、1991年『Escape』のソロアルバムでデビュー。1992年にDIMENSION結成。以降リーダーをつとめる。個性ある音作りと柔軟なギターワークには定評があり、そのサウンドは数多くのギタリストに影響を与える。2003年にはギタリスト矢堀孝一氏とのコラボレイトアルバム『月』をリリース。2005年はB'z松本孝弘のレーベル『House Of Strings』より発売された、映画音楽をギターミュージックで綴ったAL『Theatre Of Strings』に参加。2011年、ソロデビュー20年を記念してソロアルバム『In and out』をリリースした。

TAKASHI GOMI Interview

  • まず最初に、今回ボードを新調されてからの一番の感想は?

  • 以前から、その汚いボードなんとかならないの!?って色んな人から言われてて…。自分では綺麗なつもりだったんだけど、ダメだったらしく…。で、この新しいボードにしたら見た目もそうだけどノイズが減ったんだよね!!前のはノイズの温床だったらしく(笑)そこが大きな点かな。

  • 今回システムの基軸となるスイッチャーもProvidenceのPEC-04からCAJ Loop and Link IIとなりましたが、この変更に関しては?

  • 今回一番やりたかったのが、ミュートして、アンプまでの経路にチューナーが通ってない状態にしたかったたんだよね。

  • スイッチャーの他にも追加、変更されているエフェクターがありますよね?

  • そう、歪みはKochの63ODが増えたり、トレモロはstrymonのFLINTに変えている。

  • ボードを見ていてLoop and Link IIの外に出ているエフェクターもありますが、この部分の接続や、コントロールはどのようにされていますか?

  • まずディレイは外に出している。ディレイを中に入れちゃうと、切り替え時にディレイ音が切れちゃうからね。あとはプリセット数が限られている中、フレキシブルに「あ、今かけよっ!」って時にかけにくい。トレモロ/リバーブもだね。今回はアンプのリバーブを使うから出番は無いけどディレイと同じく「あっ、今かけよっ!」で使いたいから。あとブースターも外に出しているんだよね。

  • 今度はLOOPの中の事ですが、ボードを拝見するとほぼ歪みしか入ってなかったのですが…。

  • そうだよね(笑)そんないるのかい?って話しだよね。しかもそんな並んでるのに、音が全部同じじゃないかって!!それは「あれ」を必ず一番最後にかけているから!!

  • VEMURAMのJan Rayですね?

  • そう(笑)Jan Rayを通すと何でもJan Rayにしちゃうから。自分では違っているんだけどね。

  • 曲によって歪みを細かく選ぶ為って事ですね。

  • そうそうそう。気になってた?多いから。

  • はい、想像してたよりも多かったので。

  • そんな大きいボードなのに2音色くらいしかないねー?みたいな?

  • そんな事はないですよ!!

  • まぁ、順番の組み替えなども含めて、この辺りはこれから研究していこうかと。

  • このシステムはまだまだこれからがスタートですね。今後の変化を楽しみにしてます。
    本日はありがとうございました。

五味 孝氏

1965年12月9日生まれ 東京都出身
12歳からギターをはじめる。1990年にT-BOLANのギタリストとしてデビュー。
代表曲は「離したくはない」「Bye For Now」「マリア」等。1999年の解散までに約1300万枚以上のCDセールスを記録。T-BOLANの解散以降スタジオワーク、ツアーサポート、セッション、プロデュース等活動は多岐にわたる。
2010年に自己のインストロメンタルユニットelectro 53 (エレクトロ ファイブスリー)を結成。2012年にファーストアルバム ROOTS 53を発売。2015年12月には4枚目のアルバム Desert Flowerを発売。
ライブやセッションを中心に活動中。

さらに「柴崎 浩」氏と、サポートメンバーとして参加されていたベーシストの「川崎 哲平」氏が当日ご使用になられていたシステムも撮影させていただきましたのでご紹介!!

HIROSHI SHIBASAKI System

柴崎 浩

Guitar, Compose, Arrange
WANDSの第一期メンバーとしてデビューを飾り、脱退後、上杉昇とのユニット[al.ni.co]を経てギタリスト、作家としての活動を勢力的に行う。自身のバンド、Strange eggにおいてもギター、作曲を手がける。

Unit : WANDS(1991-1997)・al.ni.co(1998-2001)・abingdon boys school(2005-)
Recording :
WANDS…Album:[WANDS][時の扉][Little Bit…][PIECE OF MY SOUL],Single 11枚
al.ni.co…Album:[セイレン],Single:[TOY$!][晴れた終わり][カナリア]
Live : T.M.Revolution(Tour 2004-)

TEPPEI KAWASAKI System

川崎 哲平

1980年10月16日生まれ 福岡県出身
中学3年からギターを始めるが高校3年の時にベースに転向。その後音楽専門学校に入学し在学中より福岡でプロ活動開始。2005年からは活動拠点を関東に移し、東京を拠点に活動。ポップスからインストゥルメンタルまで幅広くプレイ出来るスタイル。エレキベースとコントラバスの両刀使いでもある。
近年は槇原敬之、華原朋美のツアーを始めDIMENSIONや伊東たけし、本田雅人といったインストゥルメンタルの場でも活動。その他はFNS歌謡祭やSONGSなどのTV番組でも演奏。